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(一色君、どこにいるんだろう?)
きょろきょろと食堂内を見回していると、
「おーい、弥生さん!こっちこっち」
一色君が窓際の4人掛けのテーブル席で手を振っているのを見つけた。その向かい側に、セミロングの髪を綺麗に巻いた女子学生が座っている。
(一色君の友達?)
ふたりの間に割り込んでもいいものなのだろうか、と心配になりながらテーブルへ向かうと、
「どうぞ」
一色君は気にした様子もなく、自分の隣の椅子を引いた。けれど、なんとなく彼の隣に座るのは気が引けて、女子学生の隣の椅子を引いて腰を下ろす。
「あの……すみません、失礼します……」
会釈をして遠慮がちにそう言うと、
「こんにちは」
彼女は京都弁のイントネーションで挨拶をし、にこっと笑って、私と同じように頭を下げた。
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