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「あなたは、悠馬君の友達なん?」
笑顔で尋ねられて、ええと、と口ごもる。
「ただの知り合……」
私が答えるよりも早く、一色君が、
「そう、友達だよ。文学部の弥生さんって言うんだ。昨日、財布落とした話したじゃん?一緒に探してくれた人」
と遮る。一色君の認識では、私は既に友達関係になっているらしい。
「ああ、猫とお話が出来るって言ってた人?」
「そうそう」
この女子学生にそんな話までしたのかと、私は少し憂鬱になった。猫と話が出来るなんて、彼はともかく、彼女には、変わった子だと思われたに違いない。
けれど、彼女は感心した面持ちで私の顔を見て、
「弥生さんってすごいんやね」
と言った。
「私は悠馬君と同じ経営学部の2回生で今西萌花って言います」
よろしくね、と言って今西さんが会釈をすると、パステルピンクのカーディガンの肩の上で巻髪がふわりと揺れた。とても女の子らしくて、可愛い人だ。
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