3.猫とトライアングル

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「弥生さん、竜田丼好きなん?私も今日は竜田丼にしてん」  今西さんのトレイの上には、私と同じ食べかけの竜田丼が乗っている。 「はい」  言葉少なに頷くと、 「ジューシーなモモ肉と、甘辛いタレがたまらないやんね。しかも、こんなにおいしいのに安いし」 竜田丼の魅力を熱く語る今西さんに、 「え、えっと……そう、ですね」 戸惑いながら相槌を打つ。 「萌花はいつも竜田丼だよな」 「だって、好きなんやもん」  会話から察するに、どうやらふたりは、よく一緒に昼ご飯を食べているようだ。 「そういえば、弥生さん、何専攻なん?国文?」 「私、日本史学科です」 「あ、史学科やったん?意外。弥生さんって、国文っぽいなって思ったから」 「え、弥生さん、史学科だったんだ」  今西さんが意外そうな表情で頬に手を当て、一色君がなぜか嬉しそうな表情で瞬きをした。 「意外?……そう、かな?」 (国文っぽいって、どんな感じなんだろう?)  よく分からずに口ごもっていると、 「なんか、純文学とか好きそうやなって思って」 今西さんが言い繕うように微笑んだ。 「純文学は、特には……」 「そうなんや」 「…………」
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