3.猫とトライアングル

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 私が設定したペルソナは、「西川都(にしかわみやこ)」という23歳の社会人1年目のOLだった。  家族構成は、両親と妹。年上の恋人がいる。性格は明るく、愛嬌があるタイプ。  職場は四条烏丸にあり、自宅は四条大宮。職場へは自転車で通っていて、フットワークが軽い。  可愛いものが大好きで、特に、動物グッズや、ぬいぐるみが好き。  趣味は、お気に入りのぬいぐるみを連れて外出し、『ぬい撮り』をし、SNSに上げること。  外出先は、神社仏閣や、カフェや、公園などで、ひとりで行くこともあるし、恋人とデートで出かけることもある。 「設定が細かいですね。良いと思います」  柏木さんに褒められて、照れ臭くなり、私は再び俯いた。少し恥ずかしいのは、都に、若干自分の希望が含まれていることだ。 (年上の恋人とか、明るい性格とか……)  柏木さんは、そんな私の気持ちには全く気付いていない様子で、私にノートを返すと、 「では、今後、弥生さんは、都さんのためにぬいぐるみを作ってください」 と言った。 「はい」  私は、都の設定を考えながら思いついた制作のアイデアを、思い出しながら頷いた。  持ち運びのしやすいサイズのぬいぐるみを作ること。様々な種類の動物を作ること。写真映えのする素材を使うこと。  指針となる目標が出来ると、制作もしやすくなるような気がする。 「それから、かかった費用は、しっかりと計算してください。領収証は捨てずに取っておいて下さいね。記帳の方法も、そのうちお教えしますから」  アドバイスをしてくれる柏木さんに、再び「はい」と頷いた。今まで、材料を買った時の領収証など、全部捨てていた。今後は捨てないようにしなければ。
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