3.猫とトライアングル

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「それでは、弥生さん。次の宿題です。出来れば毎日1回、このアプリに何らかの投稿をして下さい。『ぬい撮り』でもいいですし、単に作品の写真を載せてつぶやくだけでもいいです。たくさんの人の目に触れることが大切です」  柏木さんは、一通りアプリの使い方を教えてくれると、腕時計に視線を落とし、「おや」と目を瞬いた。 「もうこんなに時間が経っていましたか。今日のアドバイスはこれまでとしましょう。続きは、また来週に。――そうだ、弥生さん。こちらを向いてください」  スマホと睨めっこしていた私が素直に柏木さんの方を向くと、柏木さんはいつの間にかカメラを構えていて、私が顔を上げるなり、パシャリ、とシャッターを切った。 「ふふっ。今日の弥生さんも、素敵に撮れましたよ」  いたずらっぽく笑った柏木さんに、目を丸くする。 (素敵、って……この人は、本当に…………)  お世辞を言って私をドキドキさせて、一体どういうつもりなのだろう。  私は頬を膨らませると、 「もう、また!からかわないでください!無断撮影禁止です!」 ぷい、とそっぽを向いた。 *
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