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私の両親は共働きで、ほとんど家にいなかった。
小学校に上がるまでの間は、母親も仕事を辞め、子育てに専念していたが、私がそれなりに大きくなると再就職し、私は田舎の母方の実家に預けられることになった。
中学3年までは祖父母と一緒に田舎で暮らし、高校に進学する際、大学進学も見越して、東京に戻り、両親との生活を再開することになった。
卒業後と入学までの空白期間、友達もまだいなかった私は、東京での時間を持て余していた。
ふと思い付いたのは、幼少期に住んでいたこの町が、今はどうなっているのか確かめてみることだった。懐かしい気持ちが沸き起こり、たった半年だけ通った母校である小学校にも行ってみることにした。
もしかすると、当時の先生がいるかもしれない。そんな軽い気持ちだった。
思い出の小学校を訪れてみると、校門も校舎も何ひとつ変わらず、私の記憶のままの姿をしていた。昇降口に向かい、入口から校舎の中を覗いてみると、春休みなので小学生の姿はなく、教師の姿も見当たらなかった。
勝手に中に入っていいものなのかどうか迷い、とりあえず校舎の周りを歩いてみることにした。運動場の周りに植えられたソメイヨシノが、花を開き始めていた。
(綺麗だなぁ)
それを眺めながらぐるりと校舎を回ると、私はいつの間にか中庭に入っていた。
「わあ、懐かしい!」
中庭は、小学1年の時の私のお気に入りの場所だった。中央に人口池があり、周囲が花壇になっている。
(そういえば、確かこっちに飼育小屋があったよね……)
昔から動物が好きだった私は、放課後になると、よく飼育小屋のうさぎを見に行っていた。
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