4.美咲と北斗

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 とにかく、誰か教師にこのことを伝えなければ。  昇降口に戻り、靴を脱ぐと、今度は躊躇わず、勝手に校舎に入った。  朧げな記憶を辿り、職員室を探して行ってみると、室内は電気が点いていた。誰かいることに安堵し、私は扉を開けると、 「すみません……!」 と声を掛けた。 「ん?」  中にいたのは、中年の男性教師だった。見たことのある顔だと思い、一瞬考え込んだが、すぐに、 「八幡(やはた)先生!」 小学1年の時の担任だと気が付いた。  八幡先生は私の顔を見ると、最初不思議そうな顔をしていたが、次第に思い出してきたのか、 「あーっ!弥生か!弥生美咲!」 私の名前を呼んで破顔した。 「おう、どうした?懐かしいな」 「あ、あの、先生!お久しぶりです!あの、それで、さっき中庭の飼育小屋に行って来たんですけど……」  挨拶もそこそこに、私は中庭で起こっていた出来事を報告した。すると、八幡先生は、 「ああ、うさぎか。子供が死んでいたって?いつものことだ、気にするな。用務員に言って、捨てといてもらうよ」 と、あっさりと言った。 「え」  その言葉に、顔が強張る。 (いつものこと?捨てておく?)  信じられない言葉に、絶句する。
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