4.美咲と北斗

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「あの時は、本当にびっくりしたんだよ。北斗」  私は、北斗の背中を撫でながら話しかけた。 「まさか、うさぎが人間になるなんて」  私を助けてくれた少女と少年と青年は、花と雪と北斗だった。  彼らが人間に変身したのは、あの時が最初だ。  私が、なぜ3羽が人間に姿を変えることが出来たのかと問うと、3羽は口々に「神様が願いを叶えてくれた」と言った。 「……願いを叶えてもらったのは、きっと私の方だね」  私は、北斗の背中に鼻を押し付けると、そっと囁いた。北斗の背中は、ほんのりといい匂いがする。  うさぎたちが人間に姿を変えることが出来るようになってから、私は不思議と動物の言葉が分かるようになった。  この時を境に、私はひとりぼっちではなくなった。――いや、3羽が私の元へ来てくれた時から、きっと私は救われていたのだろう。
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