5.踊る指先

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 土曜日。私は、つかさちゃんとの待ち合わせ場所である四条河原町の百貨店に向かって歩いていた。  今日の私の服装は、ベージュのロングスカートに白いシャツ。靴は黒のバレエシューズ。――今朝、あらためて気がついたが、つかさちゃんの言う通り、私のクローゼットは、黒と白とベージュの服しかなかった。これではつかさちゃんに地味だと言われても仕方がない。  待ち合わせの5分前に百貨店のロビーに着くと、つかさちゃんはまだ来ていなかった。  周囲には、私と同じような、待ち合わせらしき人々が集まっている。四条河原町は京都の繁華街の中心地なので、平日休日関係なく、いつも人で賑わっている。 (今日、つかさちゃんは、どんな服を選んでくれるんだろう)  思えば、誰かと買い物に来るなんて、何年ぶりだろう。  つかさちゃんは初めて会った時からフレンドリーで、私が人見知りを発動しても、構わずぐいぐいと話しかけて来た。いつの間にかそんな彼女に慣れて、私も気負わず会話が出来るようになった。そういうところは、つかさちゃんと一色君は似ているかもしれない。  待ち合わせ時間を少し過ぎた頃、つかさちゃんが百貨店の入口の扉から入って来る姿が見えた。 「美咲さん、お待たせしましたぁ。バスが混んじゃって、遅れちゃいました~。すみませぇん」  すみませんと言いつつ、あまり反省している様子ではない。 「さあ、行きましょっ」  つかさちゃんは私の腕に自分の腕を絡めると、私を引っ張る様に歩き出した。
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