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「今度は三条に行きますよぉ!」
つかさちゃんにぐいぐいと腕を引っ張られ、三条通に移動した。三条通は落ち着いたおしゃれな路面店が多く、
「ここなら美咲さんも気に入るんじゃないですかぁ?」
その内の一軒に入ると、つかさちゃんは自信ありげにそう言った。ここは今までに見てきた服屋より、対象とする年齢層が高いのか、派手すぎる服は無さそうだ。
つかさちゃんは早速ミモレ丈のプリーツスカートを手に取った。青と茶色のチェック柄は、今までつかさちゃんが勧めて来た服の中で、だいぶ大人しい方だ。
「あと、このブルーのカットソーを合わせて……」
鮮やかな空色のカットソーを手に取って広げ、私の体にあてる。
「うん、可愛い!」
鏡を見ると、今までの服の中で、一番顔写りが良い気がした。
「試着してみようかな……」
おずおずと言うと、
「うんうん!どんどん試着しましょっ!」
私がやっと乗り気になって来たと思ったのか、つかさちゃんが嬉しそうに笑った。
店員に試着室に案内され、つかさちゃんお勧めのコーディネートに腕を通す。
「どう……かな?」
恐る恐る外に出ると、つかさちゃんは目を丸くして、
「いい!可愛いですぅ!美咲さん!」
ぱちぱちと手を叩いた。
「それ、買いですよぉ。あと、こんなのも見繕ってみたので、着てみて下さぁい」
いつの間にか用意されていた赤色の花柄のスカートにレースのブラウスを押し付けられ、
「えっ……あ、うん」
私は戸惑いながら再び試着室に入った。
(花柄、可愛い)
柄物はあまり着たことがないので、新鮮だと思いながら試着し、もう一度、外に出てみると、
「美咲さん、すっごく可愛いですぅ!花柄、超、似合いますぅ!」
つかさちゃんは私を褒めちぎった後、今度はボーダーのカットソーにワイドパンツを差し出した。
「じゃあ、次はこれ!」
「えっ?まだ着るの?」
「どんどん着てください~!」
その後も、着替えるたびに褒めちぎるつかさちゃんの言葉に乗せられて、私は予算オーバーになるほど服を購入することになってしまった。
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