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「つかさちゃん、今日はありがとう」
大きな紙袋を肩から下げて三条会商店街のアーケードを歩きながら、私はつかさちゃんにお礼を言った。
「どういたしまして。どの服も、美咲さんに似合ってましたよ~」
つかさちゃんは、楽しそうに、ふふっと笑った。
「つかさちゃんって、服にも詳しいし、おしゃれだし、本当に女の子っぽいね」
お店で「こうしたらもっと服が素敵に見える」と、あれこれと着こなし方を教えてくれた彼女に、私はすっかり感心していた。私の感嘆の言葉を受けて、つかさちゃんはきょとんとした顔をすると、
「美咲さんから見て、あたしってそう見えるんですか?」
と小首を傾げた。
「うん、そうだよ。服も髪も可愛いし、とっても女の子らしいと思う」
重ねて言うと、つかさちゃんは、
「へえ……」
とつぶやき、どこか蠱惑的な笑みを浮かべた。
「そう見えるのなら、この路線で、成功しているってことなのかな」
小さな声でつぶやかれた言葉を耳に留め、
「成功って?」
首を傾げると、つかさちゃんは、ぱっと表情を変え、
「何でもないですぅ」
口元に指を添え、いつもの明るい笑顔を浮かべた。
(……?)
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