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列車は走り出し健太の気持ちは徐々に焦り始め
ヤバイヤバイヤバイ、ついに電車が走り出しちゃった………
健太さん………
まさか今日、こんな展開になるなんて思ってもみなかった………
健太さん………
せっかく由紀乃が誘ってくれたんだし覚悟を決めなきゃな………
健太さん………
誰かが俺を呼んでる………
健太が我に返ると由紀乃が健太を呼んでいた。
『由紀乃………どうした?』
『健太さん、大丈夫ですか?さっきから健太さんを呼んでるのに考え事をしてるみたいだし、なんか汗をかいてるみたいなので心配で………』
健太はハンカチで汗を拭きながら
『だ、大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫………』
由紀乃はなぜか健太をみて笑った。健太はその姿を見て由紀乃に
『笑ってどうした?』
由紀乃は笑いながら申し訳なさそうに
『ごめんなさい、健太さんでも緊張するんだなって思いまして。』
健太は由紀乃の言葉に笑ってしまい
『それ、どう言う意味だ。』
由紀乃も健太の言葉に笑ってしまい
『いえ、深い意味はありません。』
健太は緊張してる自分の緊張を由紀乃が解してくれたんだと察した。
『俺の為にありがとう………』
由紀乃はにっこり笑って
『いつもの健太さんを見せて下さい。』
この娘は相手に対して本当に気の使える優しい娘だな………
健太はそう思った。
『由紀乃の自宅って千歳駅から近いの?』
由紀乃は
『駅を出て近くの踏切を渡って田んぼがある農道を歩いて行きます。』
『海は近いの?』
健太はまた由紀乃に質問をした。
由紀乃は
『国道を渡った先に千歳海岸がありますが少し歩きます。ただ夜になれば周りが静かになるので波の音が聞こえてきますよ。』
健太は由紀乃の答えに
『へぇ〜、波の音が聞こえてくるなんていいな。うちは近くに海なんてないから羨ましいよ。』
由紀乃は笑って
『私は海の音が聞こえてくるのは当たり前の事なので静かな方が良いです。』
健太も笑って
『確かに地元の人は聞き飽きてるよね。』
《次は千歳駅に止まります。》
由紀乃は笑顔で健太に
『次ですよ。降りる準備をしましょう。』
健太も荷物を持ち
ついについに千歳駅に到着しちゃった〜………
車内アナウンスが流れて健太と由紀乃は降りる準備を始めた。
列車は千歳駅に到着し2人は下車し改札を抜けて駅の外にでると、千歳駅にも観光客らしき人達が居た。
千歳駅の周辺は面白い事に、駅から山側は田園風景が広がり、駅から海側は色々建物が多く海岸の町と思わせる様な風景が広がっている。
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