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「ゆ、由華!?な、何!?何なの、このL○NEっ!俺、訳分かんないんだけど!?」
理君はスマホの画面の指差しながら、靴を脱ぐのも、もどかしそうに慌てて玄関から上がろうとする。
息も絶え絶えに、かなり必死な形相だ。
「見てのとーりやから。誤解しぃひんで欲しいんやけど、別に家捜しした訳やないから」
「はぁ!?……や、家捜し?……って、何の……、あ、アレっ!も、もしかして、アレ見たのっ!?由華、中身……」
理君にも心当たりがあるようで、見る見るうちに顔面蒼白になっていく。
(……あー、予感的中。大的中。ほんま、こんなとこ当たらんといて欲しいわ……)
「見るも見ぃひんも、紙袋の外からバッチリ毛糸が見えてたから」
「……あー、由華がそんなにも嫌がるんだったら、やっぱり、このまま隠し続けた方が良かったのか――――」
完全に開き直ったのか、理君は悪びれずに堂々と言ってのけた。
「……別に隠す必要もないんちゃう?今更やし。じゃ、そーゆーことやから」
そう言って、理君にこの家の鍵を渡し彼の家から出て行こうとした。
「――――えっ?!ちょっ、ちょっとっ!!ゆ、由華、どこに行くの!?もう時間も遅い上に外はかなり寒いよ!?」
「理君がいーひんとこ。じゃ」
「ちょ、ちょっと待って!!」
そう言うと、ぐいっと力強く腕を掴まれ引っ張られた。
みかけに寄らない物凄い力で、そのまま玄関のすぐ近くにある彼の寝室へと連れ込まれ、ベットに身体を放り出される。
(……はぁ?この状況で一体ナニする気なんっ!?)
済し崩し的にナニかをしようとしてるならバカにするのも大概にしろ、とばかりに怒りが頂点に達したところで、バチッと理君は明かりを点けた。
そして、そのまま理君はクローゼットの取っ手に手を掛ける。
「……」
一瞬、彼の動きが止まり、躊躇した。
(……え……、何……?……もしかして、そこに誰か……居てはるん?)
こんなとこで鉢合わせるなんて最悪だ。
どうしてさっき帰らせてくれなかったのだ、と理君を睨み付けた。
彼は一度、深呼吸すると、徐にクローゼットを開けた――――。
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