理の言い分 1

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理の言い分 1

言い訳がましいかもしれないが、言わせて欲しい。 俺は彼女が大好きだった。 過去形じゃない。 今でも勿論、大好きだ。 入社式で彼女を見た途端、一際、目立つ彼女に目を奪われた。 俺の一目惚れだった。 数ヶ月に渡る研修期間中に外堀を埋めるように彼女と仲良くなり、正式な配属先が決まる迄に彼女と付き合えることになって、俺は浮かれていた。 だから、失念していた。 彼女の出身が大阪だった、ということに――――。 神様は残酷だ。 会社側の配慮なのかは分からないが、俺の配属先は東京、彼女の配属先は大阪になり、付き合ってすぐに遠距離恋愛が始まった。 # 彼女と付き合う内に判明したことがある。 彼女の好きなタイプは俺とは真逆なタイプだった。 体育会系マッチョと言われる人達。 日本でラグビーのワールドカップがあったが、ああいう人達が好きらしい。 ……俺とは正反対。 俺は最近人気が出てきた(?)らしい『可愛い系男子』と言われるタイプだ。 幼い頃はよく女の子に間違えられたし、今でも実際の年齢よりも、かなり下に見られ、三十路手前となった今でも大学生……下手をすれば高校生に間違えられることまである。 彼女のタイプとは、自分が両極端の位置にいるタイプだと認識していた。 だからこそ、彼女に知られる訳にはいかなかった。 ……俺の趣味。 遠距離恋愛なことに、この時ばかりは感謝した。 だから、ただひたすらに、ひた隠しにした。 付き合い始めの頃はそれで良かったんだ……。 それで――――。
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