あなたが俺に落ちるまで

1日目

「ありがとうございます。びっくりしました。荷物を持っていただくなんて、本当に嬉しいです」
　あの戸惑ったような顔は、嬉しくて、驚いてたのか…

　道を歩きながら、周辺の店や学校や病院の情報を教えてくれる。「ケーキが美味しいお店がありますよ」とか、「安いスーパーがありますよ」とか地元ならではの情報も。地元の情報は住む場所を探しているお客様に喜ばれるそうだ。

　チラシはまだ半分くらいあるけど、昼になった。
「西嶋さん、昼食はどうされますか？営業所に戻りますか？」
「向井さんにあわせます」
　向井さんは弁当持参か、外食か…俺は何も用意してないから、どちらでもいい。

「普段は私は弁当持参なんですが、今日は外に出る予定だったので、外で食べたいと思ってました。良かったらパンを買って公園で食べませんか？」
「地元を知るということですね」
「そうです。お客様とのよい話題になると思います」
　向井さんの提案に嬉しくなる。