百物語の夜に

私たちは電車に乗って、幽霊が出るという噂の旅館にやってきました。

その田舎にある旅館はとっても古くて、あまりお客が寄りつかないような旅館でした。

私たちは畳の大広間を借りて、四人でその部屋に泊まることになっていました。

私たちがオカルトサークルの最後の時間を楽しむように、学校での思い出話をしているうちに、辺りは暗くなり、私たちの最後の夜がやってきました。

そんなときサークルリーダーの智則がみんなにこう言ったのです。

「オカルトサークルの最後の思い出を作るために、俺たちは今から百物語を始めようぜ。

ちゃんとロウソクも買ってきたんだ」

百物語とは、怪談話が一つ終わる度にロウソクの灯りを一つずつ消していき、百の怪談が終わってロウソクの灯りがすべて消えたとき、本当の怪が起きるとされている言い伝えのようなものです。

みんなは智則の提案に乗り、私たちは百本のロウソクに火をつけて、それぞれが持ち合った怪談話を続けました。

私はオカルトサークルの最後の活動になる百物語の怪談話を聞きながら、仲間とのこの時間が永遠に続いてくれればと、心の中で思っていたのです。