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最期の旅-2
岩の突起に爪先をひっかけ、転んだ。
咄嗟に両手を突き、顔を打つことは避けられた。
いつもながら、痛みも感じなかった。けれども思わず零してしまった悲鳴が、洞窟の奥、どこまでも響いていく……。
先は果てしなく遠く感じられた。
目を凝らしても、暗闇の奥には、何も見いだせなかった。
まるで自分の生を辿っているようだ。いままでだって、ずっと未来は真っ暗で、その先に光は見えなかった。そして多分、光はなかった。
けど、今は違う。わたしは顔を上げた。
暗闇の向こうに、唯一の光が待っているかもしれない。
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