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最期の旅-3
どこまで進んでも、はじまりの海は見えてこなかった。
洞窟は狭くなり、両肩が岩に擦れている。泥水は深さを増し、もう腰のあたりまで浸かっていた。暗いけれど、少しずつあたりの様子が見えるようになってきた。身体についた金色の粉が、ほんのりと輝き始めたのだ。
どこまで歩き続けなきゃいけないんだろう。
怖くてたまらなかった。今すぐに、外へ駆け戻りたかった。暗い洞窟のなかは心細く、この世界でひとりきりだという感じがした。
本当にひとりきりかもしれない。
わたしは欠陥品だから。
でも、行かなければならなかった。
わたしは恐怖をこらえ、足を踏み出す。
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