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じゃあこれから部室に行かないといけないから後で見せてね」
ナツキは全速力で先に学校へと走って行った。クラスでも教室の片隅で1人寂しく過ごしている俺と、いつもクラスメートに囲まれて明るく過ごす彼女とここまで親しい関係になれたのは、今やっているオンラインゲームがきっかけだった。
キーンコーンカーンコーン
終了のチャイムが鳴り生徒達も部活に向かう人や帰宅する生徒で校内が賑わっていた。
俺は誰に気づかれることもなく教室を後にしようとすると
「勇者様! 」
ナツキは再び大声で俺を呼びながら力強く背中を叩いてきた。
「痛いよ‥‥ 」
「ごめんごめん」
がさつで少し不器用なナツキはいつものように無邪気な笑顔で謝っていた。
「今日は早めに部活が終わるから夜またゲーム付き合って」
そう言い残して足早に立ち去っていった。女子力は少なかったがルックスは良いため男性からのアプローチもかなり多いらしいが、本人曰く好きな男性は自分にない才能があって尊敬できる人だと言う。
ナツキを超える男性がいるのか? と俺の思考回路を?で埋め尽くしていた。
俺は少しジーンと痛む背中を右手で優しく摩りながら帰路に就いた。
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