幕間 その一 新説死国志演義

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恋々 「なー、子龍さん」 趙雲 「ん?」 恋々 「子龍さんってどこ出身なんだ?」 趙雲 「はっはっは。さて、どこでしょう」 董麗 「わたくしも気になりますね」 恋々 「ですよね」 趙雲 「ふっふっふ。俺様は謎の美青年。深くは語らずそれぞれの想像に任せ―――」 董麗 「訛りからは何とも言えないのよね。完全に中央の人間の喋り方だわ」 恋々 「『俺様』っていうのは―――」 董麗 「それはこの男の独特なものね。地域性はないわ」 恋々 「肌の色、髪の色、目の色も特徴はないんですよね。強いて言うなら漢人?」 董麗 「まあ、国外の人間ではなさそうよね。そもそも、子龍って本名なの?」 恋々 「うわぁ。そこからして謎だとしたら足跡を辿るのも厳しそうですね」 趙雲 「なんだいなんだい。俺様のことに興味津々か? なら今宵、閨の中で教えてあげようじゃないか」 董麗 「ふうむ。被害者の後を辿れば通ってきた道のりくらいはわかるかしら」 恋々 「それ聞き込みするの嫌ですよ私!?」 ?? 『静かにね。声出すんじゃないよ? 怖いことなんかないんだからね。じっとして、動くんじゃないよ』 趙雲 「………………………………」 趙雲 (………嫌なことを思い出すなぁ。故郷。故郷かぁ)
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