小説を書こうと思ったきっかけと闇の発露

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小説を書こうと思ったきっかけと闇の発露

 小さいころから本が好きだった。本が友達だった。  私が中学二年のころ、友人に勧められて初めて、小説を書いた。  小説の書き方など知らずに書いたものだから、今見直せば赤でいっぱいになるだろう。  小説を書きながら、友人とそれに関する話をする。当時は長編と言っても、四万字程度が精いっぱいだった。  図書館に入り浸っていたから、司書の先生までも巻き込んだ。  私にとってはその時間がとても幸せだった。だんだんと、その友人とは親密になっていき、妹のように可愛がった。  私が卒業するとき、彼女が泣いていたのを今でも思い出せる。  高校になっても、彼女との関係は続いていたが、少しの亀裂が入る。私が高校三年の春、ちょうどクラブの副部長を任されたのにもかかわらず、彼女は「自分が所属している同好会に入って欲しい」と言われた。理由は、私といる時間を増やしたいから。私は最後まで断る気でいたが、彼女があまりに必死にも頼むので、その場を丸く収めるために、入部することに。私は同好会の方にかかりきりになり、クラブの方には顔を出せなくなってしまった。まあ、クラブの方には顔を出しづらいというのもあったが。  それなりに楽しい同好会ではあったが、辛かった。そこまで彼女に縛られなければならないのか、と思った。当時、登下校も一緒にしていた。ほとんどの時間を彼女と一緒に過ごしていた。傍で彼女を見ていて分かっていたのは、私に依存していることと、彼女なりに悩んでいること。  私はそれが分かっていたので、彼女と精神的な距離を取ろうとした。彼女の様子がおかしいと分かれば、物理的な距離を。
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