別の一面

愛されたいと思うけれど

　誰かから愛されたいと、思うことはある。けれど、それは難しいだろう。自分を犠牲にするような不器用な生き方しかできない私が、愛されたいなどと、愛したいなどと、思っていいわけがない。
　男性との出会いが今までなかったわけではない。
　けれど、上手くいかなかった。
　私はどこか自分を否定してしまうようなところがあって。自分を褒めるということをほとんどしたことがない。
　どうすればいいのか、分からないから。
　それが一番の理由だろう。
　自分を大切にできない者が、果たして誰かから大切にされることはあるのだろうか？
　私が思うに、それはない……と思う。
　どうしてこんなに歯切れが悪いのかと言うと、分からないからだ。
　それでも、愛してくれる人がいるかもしれないし、いないかもしれない。
　憶測の話であって、正直なところは、分からない。

　それに私は、人を信じることがとても怖い。
　信じていた人に二度も裏切られたせいである。
　敵意が、下心が、なくても、疑ってしまって、なかなか差し出された手を取ることができない。なにか裏があるのではないかと疑う気持ちがずっと消えてくれなくて、とても苦しい思いをしている。
　人を疑いすぎるのも、大概にしなければ。
　そう思うこともある。
　けれど、疑ってしまう。
　これ以上の地獄に堕ちたくはないから。今いるところは確かに闇そのもので、救いなどはどこにもない。自分の間違った判断で、今いる闇を深くしたくない。だから、石橋を何度も何度も叩いて、いっそ石橋が壊れてしまいそうになるくらいまで叩いて渡るということはよくある。
　そこまでしないと、怖くて先に進めない。私はかなり慎重に物事を決めるところがある。

　自分を大切にという言葉をよく耳にするが、いったいどうしたらそれができるのだろう？
　私にはさっぱり分からない。
　こんなどうしようもない生き方をしている自分をどう大事にしろと？
　自分を大切にする。自分を愛することを忘れてしまった私には、とても難しいことだ。
　まあ、経験上、自分を愛さなくても生きられる。目に見えぬ苦痛が伴うことになるが。それでもよければ、ご自由に。
　私はやはり、大事なことを忘れてしまったのかもしれない。
　だが、失った今、それを取り戻そうとも思わない。
　失ってしまえば、もう二度とこの手には戻らないことを分かっているからだ。
　失ってもなお、どう生きるのかが重要ではないだろうか。