好きなことしかできない

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 親が言う。 「現実から目を背けるな!」  私は〝小説〟という現実に向き合っている。  これ以上ないほどの覚悟を持って。  親にそれを話したところで、理解などしてくれないので、話さない。  これに関しては口を噤むしかないので辛いところだ。  親の気が治まらない? どうでもいいわ、そんなこと。  それで、八つ当たりされても困るのだが。  私が外に出ないのは、親には関係がないはずだ。  同居しているから、少しの影響はあるかもしれないが。 「外へ出ろ! お前は家にいるべき人間じゃない!」  ああ、もう。うるさいから、黙ってくれ。  そう言って、私が動くと本気で思っているのだろうか?  馬鹿にも程がある。  動きたくても動けないから家にいるというのに。  動いたらとても疲れてしまうから、動かないのに。  それを、親は分かってくれない。 「心配事を早く減らしてほしい。頑張ってよ!」  黙れ! 今でも頑張っているのに、さらに頑張れというか。この馬鹿!  毎日必死で生きているのに、あんたらは、貴様らは、怠けているという。  私は怠けてなんかいない。  自分の決めた目標に向かって、少しずつ歩いている。にもかかわらず、外へ出ろ? 頑張れ?  そんな余裕、どこにもないわ!  頑張っているのに、これ以上頑張ったら、壊れるわ! 馬鹿者! 「自分が正しい! こうあるべきだ!」  それを言ったからってなんになる?  そんな枠に囚われているからいけないのだ。  そんな枠、捨ててしまえ。  私なら、そんな枠を捨てる。  普通でなくてもいいからだ。  私は親になんと言われようと、非難されても、私は私のしたいように生きていく。それが、幸せへの近道だと信じている。
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