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親のこと
親は機嫌がいいときはいいが、悪いときは私に文句ばかり言ってくる。
「まともになりなさい!」
何度そう言われたことか。
変わり者であることは自覚している。それのなにがいけないというのか。
「あんたがまともになりさえすれば、心配事の半分以上はなくなる」
「あんたがまともにならないのがいけない! 少しは世間体を気にしなさい!」
ああ、もう、うるさい。黙れと言ったところで聞かないので言わない。
私は、親が嫌いだ。昔、包丁を振り回したことがあり、私はそのせいで、包丁はただの凶器だと認識しており、料理ができなくなった。
親は言う。
「そんなこと、自力で乗り越えなさい!」
馬鹿か? 貴様は?
間違った認識を植え付けたのは貴様だろう。それを簡単に乗り越えろ? ふざけるな。信じていたのに、頼りにしていたのに。裏切ったのは貴様じゃないか。貴様が裏切りさえしなければ、馬鹿な真似さえしなければ、私は少し、幸せに生きられたかもしれないのに!
幼かった私の、無力感と、絶望がどれだけだったか、貴様には分かるまい。
そんなふうに言ってしまえる程度にしか感じていないのかもしれない。
貴様の言葉など、私にはもう、届かない。
私は親の前では、不器用ながらも、愛嬌のある子どもを演じているだけだ。
それが辛いと思うときもあるが、逃げる場所もないので、仕方なくそうしているだけだ。
私は精神的にだけでも自立しようとなんとか足掻いた。
今は自分を客観的に見ることもできるようになり、以前に比べたら自立できたのかもしれないと思っている。が、実際のところは分からない。
ああ、親が憎い。私に力があれば、家出するのに。
貴様のやったことを赦せるほど、私は優しくないんだ。
私は、私らしく生きたいだけなのに、親がそれの邪魔をする。
大人しく黙っていることもできない。自分が正しいと絶対の自信を持って言う親。
あるいは、自分の方が偉いなどと言う。
人は平等なのに、そんな言い方があるか?
私を見下していれば、さぞ気分がいいだろう。
もう、勝手に言っていろ。
うるさいだけだから、もう。
この先が思いやられるが、それは親も同じだろう。
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