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コレクター
茨城県取手市。
私立のお嬢様学校、碧葉白百合女学院の生徒が連続して殺害される事件が起きた。
被害者は高等部に通う女生徒で、いずれも素行に問題がある、所謂不良生徒だった。
有名な私立学校ということもあり、報道は規制されているのだが、生徒が立て続けに亡くなっている事件はテレビのニュースや新聞で報道された。
その事件の捜査に当たっている茨城県警だが、学校での捜査に苦戦を強いられている。
と言うことを、天神八雲は友人の有栖川透を通して、県警の捜査一課の刑事、鳴神恵愛から聞いていた。
そして、もう一人。八雲に事件の情報を告げた人物が……。
「まさかあなたが碧葉白百合の教師になっているとは……驚きましたよ」
八雲と旧知の女性は、にっこりと微笑む。
どうやら事件の起きた学校の関係者らしい。
「私の受け持ちは二年生なんだけど、三年生は一般受験を控えていてかなりピリピリしているのよ」
女性、橋本小夜子は困ったように眉を寄せる。
受験シーズンに起きた事件に教師たちは頭を悩ませていた。
「亡くなった子達なのだけれどね、少し問題のある子達ばかりで……」
小夜子は鞄から写真を取り出し、テーブルの上に並べる。
三人の女生徒の写真だった。
「何て言うか、茨城っぽいですねー」
ぽつりと八雲が漏らす。
写真の生徒たちは皆、薄く脱色した髪にゴテゴテメイクをしており、お嬢様というよりはヤンキーという容姿だった。
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