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小夜子は八雲の言葉に苦笑しつつ、写真を回収した。
「今見せた写真の子達、多少の違いはあれど、生徒指導で必ず引っ掛かるような子なの。でも、いくらか素行に問題があるだけで成績は悪くなかったわ」
学校側は問題児として捉えてはいたが、特に対処はしていなかったらしい。
八雲は顎に手を当て考える仕草をしている。
「高校の時、あなたが私を助けてくれたことを思い出しちゃった。だから、お願いに来たの」
「私に探偵のようなことをしろと?」
高校生の時、八雲は学校で起きたある事件を解決に導いた。
その時の容疑者の一人が小夜子だったのだ。
「少しだけ、ね。もう既に、臨時講師として八雲を学院に招く準備もできているの」
八雲が断りにくいよう、既に手回しは完了しているらしかった。
これでは逃げることが出来ない。
「本当にあなたは変わらないですね……」
八雲は深いため息をつくと、了承の返事をした。
遺伝子学研究所勤務の八雲だが、個人の研究所であるため働き方に囚われない。
それを知ってか知らずか、小夜子は勝手に臨時講師の職を取ってきたらしい。
八雲が恨めしそうな目を小夜子に向けるが、彼女は笑っている。
何年経っても、小夜子は変わらず八雲に強かった。
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