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コレクター
八雲は全校集会での挨拶を終え、小夜子に校内を案内してもらっていた。
小夜子のクラスの副担任として、化学を教えることになっている。
大学でついでにとっていた教員免許が役に立った瞬間だった。
「ここからが三年生の教室よ。と言っても、もうすぐ自由登校だし、受験を控えている子以外は自習するだけの部屋になっているけれど……」
「そう言えば、ここって制服のタイの色、学年ごとに違うんですね。三年生は赤でしたっけ」
小夜子の説明を聞き、八雲は思い出したように尋ねた。
全校集会で綺麗に並んだ生徒の列を思い出したらしい。
そのタイの色が三色だったのを確認している。
「そうなのよ。今の三年生が赤、二年生が青、一年生が黄色。三年生が卒業したら、次に入ってくる新入生がまた赤のタイになるわ。タイだけじゃなくて、上履きと体操服のジャージもだけど」
学年を色分けしている学校はさほど珍しくない。
八雲たちが卒業した高校も、学年カラーがあった。
「じゃあ、集会の時に見かけた子は三年生ですね」
「気になった子がいたの?」
八雲の呟きに小夜子がすかさず反応する。
その表情には『犯人がわかったの?』と書いてあるようだった。
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