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八雲は苦笑しつつ、口を開く。
「集会の時に、私のことを観察するように見ていた子がいたので。その子のタイ、赤だったから三年生かなと」
「なぁんだ」
「と言うか、気になる子って表現、おかしくないですか」
「そう? 女子校だし、そっちの子もいると思うよ?」
くすくすと笑いながら答える小夜子は緊張感がない。
八雲はそんな彼女に呆れつつ、静かにため息をついた。
「そんなことより、それぞれの現場へ案内してくださいよ……」
呟くように催促した八雲。
授業中とは言え、教室内の生徒に聞こえたら困るからだ。
「ん、行きましょうか。私も次は授業があるし」
小夜子に連れてきてもらったのは、旧校舎裏だった。
一番最初の被害者が見つかった現場らしい。
「ちょうどここに、俯せで倒れていたの。殆ど人通りのない場所だから、気付いたときにはもう冷たくなっていたわ」
冬の寒空の下で凍えていた女生徒の遺体。
彼女が横たわっていた場所にしゃがみこみ、地面に手を触れる。
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