新しい職場そして。

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「あ、彼女は白井さん、このグループの裏方というか細かな雑務をやってもらいます」 社長が私を紹介した。 「白井です、雑用ならなんでも申し付けてください」 頭を下げる。 「じゃあ、会議の記録を残してくれる?」 社長からの指示。 「パソコンにいきなりはできないので、メモをとってからでいいですか?」 「あとでまとめてくだされば、問題ありません」 社長の代わりに榊原が答える。 「は、はいっ」 まさかの榊原からの返事にうろたえる美樹。 ➖しまったぁ、もっとパソコン、やっとくんだった➖ 自分の勉強不足を後悔した。 ここでちゃんとメモをとって、しっかりした資料をつくらなければ!と気合をいれる。 会議が始まった。 専門的な言葉、機械の仕組み、材料の手配など美樹にはわからない言葉が多かった。 それでも言葉の意味を質問している場合ではないので、メモに残しておきあとで会議のメンバーに質問することにした。 それにしても。 榊原は、よどみなく会議を進めていく。 社長の説明が足りないところをわかりやすく、でも厳しい語調で補足する。 ➖へぇ、こんな話し方なんだ、気持ちいい話し方だな➖ 最初に会った時のように、言葉選びがうまいし、標準語らしいアクセントは丁寧な話し方にとても合っている。 メモを取りながらも、榊原の言葉を聞き漏らすまいと耳を傾ける美樹だった。 しばらくの間榊原の説明があり、一通りこのグループのやるべき仕事の説明が終わったらしい。 「じゃあとは、うちの加藤から説明します」 榊原はそういうと、隣に座っていた加藤にバトンを渡した。 「どうも、加藤といいます。これからは私が主に指示をしていきます。榊原はマネージャーとして総合管理になりますので、直接の指示は私がしていくので、よろしくお願いします。 さて、まず、この最初の案件からですが・・・」 榊原から加藤にかわって、美樹のモチベーションが一気に下がった。 ➖なんだ、榊原さんがずっと直接指示してくれるわけじゃないんだ➖ それでも、ちゃんと会議の議事録を作りたいと思った、榊原に見てもらうために。 そのまま会議は2時間ほど続いた。 終わるとき、榊原が言った。 「これからは加藤が直接指示していきますので、何か相談事があれば加藤に聞いてください」
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