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会議が終わり、榊原たちが帰る。
ドアを開けて待っていると
「白井さん、でしたか?今日の議事録をまとめておいてください。後日でいいのでぼくにも送っておいてくださいね」
「あ、はい、わかりました」
緊張気味に美樹が答える。
「じゃ、また」
「「「お疲れ様でした」」」
グループみんなで見送る。
カップを片付け会議室を掃除して、自分の机に戻り
榊原にLINEをする。
『まさかまさかまさか、です。榊原さんがウチの会社に来るなんて!これってもうただの偶然じゃありませんよね?奇跡ですよね』
興奮気味のままLINEを送る美樹。
ぴこん♬
『お疲れ様でした。議事録はデータで送ってくださるようにお願いします。加筆修正できるように』
➖えーーっ!奇跡というのはスルーなの?➖
仕方なく、議事録コメントにリプライする。
『承知いたしました、まとまり次第送ります』
そのあとはLINEは届かなかった。
そういえば日本にいる時は、あまりLINEが来ない。
まぁ仕方ないかと諦める。
何か約束をしたわけでもなく、たとえば好きだとか言われたわけでも言ったわけでもない間柄。
➖・・・だからかもしれないな➖
気になるのだ。
なぜ榊原が美樹にLINEを送ってくるのか?
わからない。
仕事を終え、帰宅する。
議事録は半分くらいできたけど、そもそもそんな書類を作成するのは初めてのことで
このやり方であっているのかわからなかった。
➖聞いてみるかな?➖
ぴこん♬
榊原にLINEをしようとスマホを開いたらちょうどLINEが届いた。
『ぼくの会社は大きいほうなので、いろんな業種もあり、なんらかの形で接触することがあるという可能性はあります。奇跡、とよぶには可能性がありすぎるかと思いますが』
➖ん?ん?ん?➖
どう理解すればいいのか?
また返信に悩む美樹。
➖可能性がゼロじゃないから、奇跡ではないと言われているのかなぁ➖
しばらく考えた結果。
『そうですね、まったくの奇跡とはいえないです』
そうだとしたら、世の中の不思議とも思える出来事の大半は、奇跡ではないことになるなと少しばかりの反論は抑えた。
議事録のことを質問するのは忘れていた。
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