新しい職場そして。

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『出張、お気をつけて行ってきてください』 ぴこん♬ 『ありがとうございます』 ➖よかった。➖ 榊原からLINEが届いた、それだけでうれしくなるこの気持ちはなんだろう?と美樹は考えた。 すごく優しいわけじゃない、どちらかというと厳しい。 めちゃくちゃイケメン!とかでもない。 清潔感はたっぷり。 ➖あ、そうだ、頭がいい!➖ 不意に田崎に言われたことを思い出した。 『貴女の好奇心を満たして、貴女の欲しがってる達成感を与える男がいたら、貴女は間違いなくその男に向いていく』 「そうかな?」 『でも貴女は飽きっぽい』 「ほほぉ!」 『貴女を面白がらせて惹きつける男がいたら、俺も会ってみたいな、どんな男か』 「会ってどうするの?」 『単純に興味だな、貴女を相手にできる男は俺くらいのものだと思ってるから』 「ははっ、そうかもね」 そんなやり取りをしたことがあった。 田崎は美樹をどう思っているのか、確認したことはない。 【腐れ縁】と言われたくらいで。 ➖貴女との間には愛という情がある、とか言われたことがあったわ➖ 昔言われたセリフを思い出した。 そんなセリフにうれしさをおぼえたのは、美樹も若かったからだろう。 今となっては、愛とか恋とか決めることも煩わしい気がする。 じゃあ榊原のことは? ➖わからないなぁ➖ 運転しながらつぶやく。 星野源の【恋】を聴きながら思う、恋なのか? ➖興味?➖ 決めないでおこう、榊原とは楽しいLINEのやりとりにしておこう。 人生も半分はとっくに過ぎたから、楽しい時間だけを過ごしていかないともったいないと思った。
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