364人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
『出張、お気をつけて行ってきてください』
ぴこん♬
『ありがとうございます』
➖よかった。➖
榊原からLINEが届いた、それだけでうれしくなるこの気持ちはなんだろう?と美樹は考えた。
すごく優しいわけじゃない、どちらかというと厳しい。
めちゃくちゃイケメン!とかでもない。
清潔感はたっぷり。
➖あ、そうだ、頭がいい!➖
不意に田崎に言われたことを思い出した。
『貴女の好奇心を満たして、貴女の欲しがってる達成感を与える男がいたら、貴女は間違いなくその男に向いていく』
「そうかな?」
『でも貴女は飽きっぽい』
「ほほぉ!」
『貴女を面白がらせて惹きつける男がいたら、俺も会ってみたいな、どんな男か』
「会ってどうするの?」
『単純に興味だな、貴女を相手にできる男は俺くらいのものだと思ってるから』
「ははっ、そうかもね」
そんなやり取りをしたことがあった。
田崎は美樹をどう思っているのか、確認したことはない。
【腐れ縁】と言われたくらいで。
➖貴女との間には愛という情がある、とか言われたことがあったわ➖
昔言われたセリフを思い出した。
そんなセリフにうれしさをおぼえたのは、美樹も若かったからだろう。
今となっては、愛とか恋とか決めることも煩わしい気がする。
じゃあ榊原のことは?
➖わからないなぁ➖
運転しながらつぶやく。
星野源の【恋】を聴きながら思う、恋なのか?
➖興味?➖
決めないでおこう、榊原とは楽しいLINEのやりとりにしておこう。
人生も半分はとっくに過ぎたから、楽しい時間だけを過ごしていかないともったいないと思った。
最初のコメントを投稿しよう!