近づく

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「はい、あの、少し前に社長から言われていたのですが、私がうまくできなくて実際に発注したのは昨日の日付になってます」 少しだけ嘘をついた。 自分のせいにした。 ➖怒られる!➖ 「そうですか」 ➖あれ?➖ 社長を見る榊原。 「不慣れな美樹さんに任せっぱなしで確認しなかったんですね?」 「はぁ、できたと思っていたので」 社長は美樹の嘘にのった。 ちょんちょんと、美樹の脇腹をつつく隣に座っている林。 『いいの?美樹さんのミスのせいになってるよ』 『うん、いい』 小さく答える。 「最初の打ち合わせから2回、ここに来て進捗状況を確認していましたよね?」 今度は加藤に質問が向かう。 「確認していましたが、こういうことになっているとは・・・」 美樹は加藤を見た。 ➖確認してた?社長とダラダラ話して夜はお酒飲んでただけじゃん!➖ 加藤を睨んでしまった。 「美樹さん?」 不意に榊原に呼ばれる。 「はいっ」 「せめて仕事に支障がないくらいには、パソコンをマスターしてください」 強めの語調だった。 「はい、申し訳ありませんでした」 謝るしかない、仕方ない、そう思いながらも悔しかった。 ➖だから、遅れてるって社長に言ったのに➖ 泣きたい気持ちになった。 「みなさんも、このチームで仕事をする以上、進捗状況はそれぞれ確認して、お互い足りないところは補い合って進めてください」 「「「はい」」」 「自分の仕事ではないからと、置き去りにしないようにしていただかないと、いつまでも仕事は進みません」 「「「はいっ」」」 当たり前だ。 次の打ち合わせの時までには挽回しておかないと。 美樹の中で、悔しさからやる気に変わった。
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