近づく

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次回の打ち合わせまでにやるべきことの 細かな計画が打ち出された。 緊張感に包まれた会議が終わった。 榊原と加藤は帰って行った。 「だから言ったじゃないですか!予定より遅れてるって!」 片付けている社長をつかまえて言った。 「いやぁ、加藤さんが、榊原さんはどんなに頑張ったとしても絶対認めてくれないからそこそこでいいって言ってたからさぁ」 「は?何それ!榊原さんって加藤さんの直属の上司だよね?だったらよけいに仕事を進めてないといけないんじゃないの?」 美樹はわけがわからなかった。 「なんだかわからないけど、加藤さんは榊原さんに不満があるみたいだわ」 「だとしても、それに社長がのっかることないよね?」 なんとなく、榊原のことを悪く言われてるようで、社長に対して強い言い方になってしまう。 「まぁ、これからはちゃんとやるから、ね!」 じゃあとはよろしくと、そそくさと会議室から出て行った。 ➖なんだかなぁ➖ ため息が出た。 榊原と会えることがうれしかった午前中までとは気分が雲泥の差。 ➖仕事に支障がでないくらいには・・・か。➖ まだまだ勉強不足だとは認識していたが、榊原に面と向かって言われると、さすがに落ち込む。 ➖落ち込んでる場合じゃなかった➖ 気分を変えようと思った。 『本日は、遠いところ、ありがとうございました。 お疲れ様でした』 ぴこん♬ 『今日の議事録もお願いします。 それから、グループメンバーのみなさんを、しっかりまとめて仕事をうまく進めてください。気を抜くとダラダラになってしまいます。特に社長をお願いします』 ➖ん?まとめる?私が?➖ 『私が、ですか?私にそんなことができるのでしょうか?』 ぴこん♬ 『美樹さんならできます』 どういうわけか、認められているようだと思った。 『わかりました。キッチリと仕事を進めておきます。お帰り道中、お気をつけて』 ぴこん♬ 『雨はもう降っていません。ぼくは晴れ男ですから』 そういえば、さっきまで結構な雨が降っていた。 『ぼくが外出するときは雨が降りません』 いつだったか、そんなLINEが榊原から届いたことがあった。 まさかぁ!と思いつつ。 『いいですね、私は反対で出かけるときは雨が多いです』 そんな返事をした。 『雨雲も榊原さんには一目置いているんですね』 ぴこん♬ 『雨雲も?とは、他にも?』 『私、です。一目どころか百目置いてます』 ぴこん♬ 『百目?どういうことですか?』 しまった!榊原にはボケとかツッコミが通じにくいんだったと思い出した。 わざわざ説明するのも気がひける。 『つまり、私は榊原さんをリスペクトしているということです』 ぴこん♬ 【ぺこり】と頭を下げるスタンプが届いた。 ➖榊原さんがスタンプ使うなんて!!➖ 新鮮だった。 【目がハート】のスタンプを送った。 返事はなかった。
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