はずす

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榊原は今また海外へ出張している。 時差があるのでLINEが届く時間はまちまちだが、朝起きて榊原からのLINEが届いていると、やった!と喜ぶ美樹だった。 ぴこん♬ 『今日は帰り道とても眠くて、大きな声で歌いながら帰ったら喉が痛いです。これでは明日の会議で声が出しにくくなりそうです』 榊原はどこへ行っても自分で運転すると言っていた。 『何を歌いながら帰ったんですか?』 ぴこん♬ 『ブレーメンの音楽隊です』 ➖え?それ童話?歌??➖ 『喉、早く治るといいですね』 わからないことは聞く前に調べる!LINEを返しながら美樹は調べようとしたが、出勤前で時間がなかった。 それからしばらくLINEは届かなかった。 ➖治ったのかな?喉➖ 次の日。 午後。 ぴこん♬ 『会議で大きな声を出したので疲れました』 『お疲れ様でした。何かあったのですか?』 ぴこん♬ 『これはまだ内緒ですが、加藤をはずすことにしました』 ➖え?!➖ ぴこん♬ 『これからはぼくが直接指揮をとります』 何かあったのだろうか? ➖もしかして、先日の?新しい装置のこと?➖ 確認するべきかどうか、悩んだ。 でも、あの装置については榊原も承知だと加藤は言っていた。 却下されるだろうけど、とりあえずやろうと。 ➖でもまぁ、榊原さんの会社の人事のことには口出せないし。それに、榊原さんが直接指揮をとるなら、榊原さんの来社の回数も増えるかも?➖ 『榊原さんが直接指揮されるほうが、方針が伝わりやすいだろうから、その方がいいと思います』 その美樹の返信には、榊原に対する気持ちが含まれていた。 会える回数が増えるだろうと期待して。 その後、榊原からの返信はなかった。 また次の日。 加藤がはずされたことは誰も知らないようだった。 まだ内緒ですが、の榊原の言葉どおりまだ誰も聞いていないのだろう。 ➖知らないふりをしとかないと➖
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