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もともとワンマンだとは聞いていたけど。
加藤の口からは榊原を非難することばかりが出てくる。
仕事ができる人、頭がいい人だから理解されにくいところがあるのだろうが、あまり信じたくないことばかりだ。
今すぐにでも、榊原に直接聞きたかった。
『本当なんですか?』
でも。
まだ続く加藤からの榊原非難。
「この会社の前に一緒に仕事をしてた会社とは、契約解除の時にそれまでにかかった費用を払っていないんです。
およそ5000万。相手は裁判にかけると言ってましたが、他にもうちと仕事をしてるので関係をこじらせたくないからと、泣き寝入りしました」
「「ええっ!」」
さらに
「榊原さんの指示どおりに手配した材料が半分も不足して、そのことでそこにいた部下がめちゃくちゃ怒られて、そういうことが続いてその人は鬱になってしまいました。
1人じゃないんですよ、そうなってしまった人は」
信じられなかった。
少なくとも、美樹に対してはそんなことはなかった。
今のところ、パソコンのスキルと仕事のことに関しての情報や知識を増やすことはやるべきこととして言われてる。
最近ではよく頑張ってますねと褒められた。
➖それに、私はみんなが知らない榊原さんを知ってる➖
そういう自信みたいなものがあった。
加藤がはずされたあと、これからどうなるのだろうか。
➖そうだ!!私がもっとしっかりみんなをまとめられれば!➖
榊原の手伝いをしたい、みんなをまとめて仕事をしっかり進めたい、そう思った美樹。
加藤が帰った後、榊原にLINEを送った。
『私をこの会社の窓口として正式に決めてください。私にできることは少ないかもしれませんが、何かあったら私の責任にしてもらっていいので』
榊原から、会社の窓口として指定してもらえば、もっと榊原の役にたてる、もっと近くになれる、ただそれだけが目的だった。
何かのミスがあれば(先日の発注ミスみたいに)私の責任にしてもらっていいからと、そういう軽い意味でLINEした。
ぴこん♬
すぐに返事が来た。
期待しながらLINEを開く。
『何をバカなことを言ってるんですか!あなたは会社対会社の付き合いをなんだと思ってるんですか!
責任?あなたみたいな人がどうやって責任をとるんですか!
あなたはその会社では最低ランクの人間です。思い上がるのもいい加減にしなさい!』
➖しまった!調子にのってしまった!!!➖
頭が真っ白になった。
そんなつもりじゃなかった。
激怒させてしまった。
送ったLINEを読み返すと、確かに私の言い方が悪い。
➖責任をとるとかそんな意味じゃなくて、あの時の社長みたいに私のミスのせいにしてもいいですよってそれくらいの意味だったのに➖
泣きたい気持ちになった。
誤解ですと言いたいが、言い訳になってしまうような気がした。
榊原という人間は、言い訳を聞かないような感じがする。
私の言い方が悪い、誤解されても仕方ない。
でもそれを説明するのも・・・。
しばらく考えたあと
『申し訳ありませんでした。私の思い上がりでした』
それだけを送った。
返信どころか既読もつかなかった。
➖私は大バカものだ!!!➖
誰よりも榊原のことをわかっているつもりだったのに、あんな言い方をしたら怒られるに決まっているのに、調子にのってしまった。
時間を巻き戻したくなった。
それからLINEは届かなくなった。
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