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次の日
「ふぁーー!」
あくびが止まらない。
さすがに3時間足らずでは寝不足は否めない。
「夜更かししたの?白井さん」
同僚の、林の彼女(愛人?というべきか)が話しかけてきた。
「んーちょっと昨日は飲み会で遅くなって。やっぱ年には勝てないわぁ」
「でも、メイクのノリはいいみたいですよ?」
「え?そう?」
ドキリとした。
まさか昨日の今日でバレるわけはないと思いながら。
「私も昨日はいいことあったので、めちゃくちゃメイクのってるんです!」
➖あー、はいはい、デートしたのね?➖
林を見ると、何回もあくびをしている。
それにしても、同じ職場で不倫してることをにおわすなんてどこかの女優じゃあるまいしと思う。
➖林くんも悪いヤツだなぁ!彼女は独身なのに。奥さんにバレないうちに別れられるのかなぁ?➖
他人事ながら、気になってしまう。
確かまだ小さい子どもがいたはず。
ぴこん♬
『おはようございます。寝不足は大丈夫ですか?』
榊原からのLINEが届いた。
『さすがに眠いです。でも幸せな寝不足なので、機嫌はいいです。それに、カラダのあちこちに榊原さんを感じられるので』
朝から恥ずかしいLINEだなと思った。
ぴこん♬
Brownny『はてな?』スタンプ
➖そうか、意味が伝わらないか➖
『昨夜のことを思い出して幸せを感じてます』
そう返した。
ぴこん♬
Brownny『お辞儀』スタンプ
➖お辞儀?なぜお辞儀?➖
美樹もコニーのお辞儀スタンプを返した。
スマホを見ながらクスッと笑っていると、事務所の入り口がザワザワしていることに気づいた。
声がするほうに、林が駆けていくのが見えた。
「え?何かあった?」
女の人の声が聞こえる。
何かを怒鳴っているような?
がちゃん!
何かが割れた音。
「白井って女はどこ!!」
みんなが私を見た。
視線の先をたどって、私を見つけたらしい来客はツカツカと美樹に歩み寄る。
「アンタが白井?」
「えっと、そうですけど、どちら様ですか?」
美樹を上から下までくまなく見据える。
「アンタどう見ても40後半だよね?」
何かに怒っているその女性の来客に、できるだけ丁寧に答える美樹。
「いえ、ありがたいですが、50過ぎてます」
「はぁ?!私よりも一回りも上!なんでそんな女と!」
「すみませんが、どちら様ですか?」
「アンタの男、林の妻です!昨日もうちの旦那をタラし込んでくれたわね!」
「「「えーーーっ!!」」」
野次馬で集まっていた同僚たちから驚きの声が上がった。
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