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「えっと・・・、どうしてですか?私が?」
わけがわからない。
林の彼女は私じゃないと言いたいが、当の彼女は素知らぬふりで下がって行った。
「こっちは証拠、掴んでるの!いまさらしらばっくれないで!!」
➖証拠?なんの?何?➖
「どうしたの?美樹さん!」
奥から社長が出てきた。
「ちょっと待って、落ち着いて!小百合、あっちへ行こう、ここじゃちょっと話もできないから」
慌てた林が小百合という女性の背中を抱き抱える。
「離して!私はこの人に話があるの!」
美樹に対して、今にも掴みかからんばかりの勢いだ。
「もしかして、林君の奥さんですか?ここでは話ができないから・・・」
社長も小百合をなだめようとするが、その声は小百合には届いていないようだ。
「あなたは林くんの奥様ですか?はじめまして
、白井は私ですが、何か誤解されているようですが?」
できるだけ静かに、小百合の気を逆なでしないようにと美樹は話す。
「誤解?あのね!夫に女がいることは前からわかっていたの!それがね、昨日、午前様で帰った時、シャワーを浴びてきた匂いがしたから、問い詰めたら、あんたの名前を言ったのよ、シライミキって!」
➖はぁ?!➖
どういうことかと林を見ると、ごめんごめんと美樹に向かって手を合わせている。
どうしたものかと考える。
「とりあえず、ここでは話ができませんから、こちらへ!」
美樹が会議室の方へ、案内する。
「ここでいいってば!」
ガンとして動かない。
「わかりました。端的に申しますと、白井美樹は私ですが私は奥様が思ってらっしゃるような、林くんと特別な関係の女ではありません、ただの同僚です」
キツく、はっきりと、答える美樹。
「だって、夫が名前を・・・」
「そもそも、一回りも上の女を林くんが相手にすると思いますか?」
「え、でも・・・」
「どなたと勘違いされているのかわかりませんが、職場まで来られては、みんな迷惑です。
林くん!こっちへきて奥様とちゃんと話しをして!」
「は、はい!すみません!すぐに」
社長よりも威圧感のある言い方に、慌てて小百合を連れ出そうとする林。
「家庭のゴタゴタを職場に持ち込むなんて、もってのほか!!きちんと区別して遊べないなら、そんな付き合い、やめてしまいなさい!」
小百合を連れて出て行こうとする林。
「は、はい、そうですね」
「え?遊び?ちょっと待って!!林さん!」
出て行く小百合と林を追いかける女、林の彼女。
「遊びってなに??ねぇ!遊びじゃないよね?」
玄関のドアを開けて3人が出て行く。
「「あーーぁ!」」
せっかく美樹が追い返したのに、わざわざことを荒だてに出ていく女を見てみんなはため息をついた。
この後起こる修羅場を、みんなが予想している。
「私はしーーらない!」
と言いつつ、自分が言えることじゃないよなぁと自分につっこむ美樹だった。
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