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週末ごとに晶子達、青山家、片瀬家を回れれば、どうにか七月中に話はつくかもしれない。もし揉めたとしたら、入籍自体は同居開始よりも後で構わないわけだし……。
「それじゃ、指輪は後回しにして、挨拶周りと部屋探しを先にしようかな」
「あのさ……。優子さん、結婚式は特に考えてないの?」
結婚式。
正直なところ、あまり考えていなかった。というか、
「結婚式は、するとしても後回しかなぁって思ってたんだけど……。そんなにこだわりもないし、愛美ちゃん達のが終わってから考えてもいいかなって」
「あ、そっか。姉ちゃん達のが保留中なんだった」
「亮弥くんは早くしたい?」
「俺は……えっと俺は、優子さんに従うけど……」
何を遠慮してるのかわからなくて首を傾げると、亮弥くんが言った。
「ほら、プロポーズの時、結婚以外は全部譲歩すると、宣言したので……」
「ああ!」
そんなこと律儀に気にしてたんだと思って、なんだかかわいそうで、愛しくなった。
「それは、無しにしよう。私も亮弥くんの望みはできるだけ叶えてあげたいし」
「え、いいの?」
「もちろん。それに、私思ったんだけどね、二人の間のことは、亮弥くんの方が判断が正しいことが多い」
そう言うと、亮弥くんは笑った。
「そうだっけ?」
「そうだよ。亮弥くんのおかげだから。今の私達があるのは。だから、これからも頼りにさせてください」
「マジで? 俺にも優子さんに頼ってもらえることがあったとは……」
「すごく頼りにしてるよ。本当に、ずっと心の支えだし。ありがとう。本当に……私の側にいてくれて……」
伝えているうちに、急に感極まって、声が弱くなって、涙が……。
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