エピローグ2

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「ほんとにあの時のことだけキレイに覚えてないんだね」 「あの時って?」 「酔っ払って仲見世歩いた時」 「あ~、その時にそんなことまで言ってたの?」 「いろいろ優子さんの願望聞けて、俺には収穫だったけど」  全く覚えてなくて、なんだかすごく恥ずかしい。お酒には気をつけよう。 「とにかくね、俺はそのアルバムだけは絶対に作りたいの。あの時にそうしようって決めたから。こんなに早くチャンスが来るとは思わなかったけど……」  そんなこと思ってくれてたなんて、素直に嬉しい。今の容姿でどれだけのものが撮れるのか、心配ではあるけど。 「それならたしかに、一日でも早い方がいいかもね」 「え、じゃあ、撮ってくれる?」 「うん。ありがとう」 「ッしゃ‼ じゃあさ、じゃあさ、俺いろいろフォトプラン調べてたんだけど……」  亮弥くんはすぐに自分のスマホを操作して、私に画面を見せながら、いろんなフォトスタジオやアルバム制作のプランを、わかりやすく説明してくれた。  それを聞きながら、よく調べてくれてるなぁと感動するとともに、本当に本当にこの人のことが大好きだと、深く実感する。  この幸せを、この先ながくながく守っていけるように、亮弥くんの笑顔を守っていけるように、私のすべてをかけて尽くしていこう。  そうすることを不安に思わないのは、亮弥くんがいつも、私の愛情を上回るほどのものを返してくれるから。  私がこんなにバランスよく一緒にいられる人は、過去も未来もこの世界に一人だけだろう。その人と出会えた私は、とても幸運な人間だ。    これまでとは何もかもが違う毎日が始まろうとしている。  この年で全てを一新させることに、こんなにわくわくしている。  四十歳。まだまだ残された時間は長い。  自分の気持ちに最適化された人生という、最高のプレゼントを享受して、私は進む。  心から愛おしい大切な人と、この先は二人で――。 <完>  
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