紺色のマフラー

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私たちはそれから仕事でも一緒になることが多かった。 1課と2課は同じ営業でも異なったことをやっていてタッグを組むことも少なくなかった。 あの入社一年目の飲み会もそういう意味で大事だったらしい。 はじめは軽い人だと思っていた彼はやはりエリート上司であり、周りから尊敬されているだけあった。 しかも彼は軽いのではなく、周りから好かれる社交的な人だとわかった。 仕事中は真面目でしっかりしているが休憩や終業後は眩しい笑顔でよく笑う人だった。 急に笑う姿は私の胸を熱くするようだった。 私は彼からたくさん学び、叱られもして沢山の顔を見た。 数年間仕事を一緒にしてきたある日、営業用車の中で言ったのだ。 「草薙、今夜一緒に飲みに行かないか?」
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