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あいつを許さない
ーー運命の赤い糸。
私はそれで、マフラーを編む。
成就する前に消えた運命、キューピットによって切られた運命ーー叶わなかった運命で。
あいつは知らない。何も知らない。神さまに仕えているくせに、知ろうともしない。
神さまが人々の最善を願いながら赤い糸を紡いでいることを、小指から離れていく悲しみを帯びた赤い糸を、矢によって運命を変えられた者の末路をーー。
いつの日か、この悲しみの込められたマフラーが出来上がってしまうだろう。
その時は、その時はーー。
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