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会話
とあるオフィスにて、ある企業の先輩と後輩が話している。
「先輩。昨日大丈夫でした?」
「いや、見事に切れた。凄かったな。」
「本当ですよね。あんな雷雨になるとは」
「ここらは全域停電してるんじゃないか?」
「そうっぽいすね。」
その時二人の後ろから、大きなため息が聞こえた。「やっぱり駄目だ。」
眼鏡をかけた男が頭を抱えている。
「どうした?」
先輩が聞く。
「《オト》の調子が悪いんです。多分昨日停電した時に、プログラムが色々消えちゃったのかな?」
眼鏡は答えた。
「まあ、いいんじゃないですか?」
後輩が笑いながら答える。
「《オト》は、旧世代のAI検索エンジンじゃないですか?うちの会社が開発したからってずっと使ってるけど、完全に時代遅れですよ。」
後輩はさらに続けて言う。
「検索者の求めてる情報に最適なものを届ける。
それは当然。でも今求められてるのは、それに加えて「早さ」です。《オト》は検索スピードが遅すぎる。」
「…まあそうだな。」
先輩が答える。
「まあ、もう壊れたままでいいんじゃないか?先日、《オト》を越えるAIの《ヒカリ》も開発出来た訳だしな。」
と先輩は笑った。
「まあ、そうかもしれませんね。じゃ直さずという事で。お疲れ《オト》。」
そう言って眼鏡は、《オト》を完全にデリートした。
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