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召喚成功しました…しなくてもいいのに…
ウィィ…ギギ…ィン…
「ピピー?」
ハッと気づくと机の上に俯せていた。
リリティーゼ様がお造りになられた錬成物の"カー"が、エルレット様のペットのスライムの"マリン"と共に、俺に布を被せてくれようとしてるようだ。
「お、悪いな…。カー、マリン。…大丈夫か?」
ウィ…ギ…ィィン…
他の錬成物は動かなくなって広間に置かれている。
カーだけはおかしな音を立ててはいるが、なんとか動いていた。
マリンが野生に戻らないのは、カーがいるからだろう。
小さい頃、親が亡くなり悲しんでた俺をカーが遊んでくれたっけ…。
錬金術が使えれば直せるのかな…。
………リリティーゼ様なら朝飯前だろうな。
バタンッ!
「レン様?挨拶もなく帰られると寂しいです!あの大臣、あまりにも腹が立ちましたので、生え際を扇で削ってやりました!」
削って…?
お姫様は過激だ。
「頭抱えて蹲ってるよ。それより…ティアの輿入れが決まってた。あのバカ大臣、とっくの昔にティア売ってた…。三日後だぜ。マルアールをバカにしてる」
センジュがガックリ項垂れた。
え…?
王家の姫の輿入れが三日後?
侍女を搬入するわけじゃないのに…。
『早くしろ!間抜け神様にバレたらアウトだぞ?!』
リリティーゼ様のお声が部屋に響き渡る。
「なんだ?今の念話!」
「女性でしたわよ?!」
センジュとティアが誰何する。
ウィン…?
ウィィギギウィィン!
「ピピ?!ピー!」
カーとマリンは誰の声か分かったようで、嬉しそうだ。
「…あれ?カーとマリン、なんか落ち着きないな」
「誰です?」
ティアの目が怖い。
あーだこーだ言っても始まらない。
………喚ぶか。
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