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子孫は普通のヒトですが、後見人はアクマです
「…女神リリティーゼの後見がいない子供に指図される謂れはありませんねぇ…」
「ではあなたは何をしにメーメルン、ないしはマルアールにいらしたのですか?」
「それは勿論、女神様方と友好を深めに…ですよ」
「………」
リィ様たちがいなくなった途端、こちらを侮る連中が増えた。
昔からのことだけど、由緒正しいメーメルン公爵家に対してかなり酷い扱いだと思う。
リィ様がお造りになったバルディンはフェイデの船を一艘沈めたので表立って敵意を向けてくる連中はいないが(リィ様たちが居なくなったと気づくと懲りないフェイデが戦艦を出してきた。勿論バルディンがドラゴンブレスを放ち船が折れ、命からがら逃げてったけど…。バルディンが高速で追いかけフェイデ皇帝の襟を咥え公爵邸にUターンしてきた。襟でぶら下がったプラプラ状態で空を高速で飛んだのが相当怖かったらしく、フェイデ皇帝に泣きながら『下ろしてぇ~!ごめんなさいぃ~!!!』と謝られた)、公爵邸に入ってからの悪意は物凄い。
昔は黙って耐えていたけど
「…レンゼル。遠慮は要らないから叩き出してしまいなさい。可愛い妹のリィの子孫に対して、なんという侮辱!…いや、僕が直々に叩き出せばいいのか…そうだそうしよう…」
ブンッ!
アントン様のレイピアが唸りを上げる。
小剣が音立てるって、どんだけ力が強いんですか?
それは相手にも理解できたようで…
「…君は誰かね?私は南大陸のレクーナの」
「私はルテシー辺境伯家の当主アントンと申します。前世からの妹リリティーゼにレンゼル公子の後見を任されました。…由緒正しいメーメルン公爵家の次期当主に対する暴言、確と承けとりました。お覚悟は宜しいですね?…いや?そういえばリィが色々"クスリ"を造って実験したがってたから、実験台に」
「ヒィ?!しまった!!!地獄の使者のうちの一人が現代に甦ってた!!!」
「…地獄の使者…」
アントン様の言葉を遮ったレクーナの某さんは、顔色を一気に青、白通り越し土気色に変えた。
…本人目の前にして
"アクマ呼び"
するツワモノって、いるんだ…。
バカって悔やむの、遅いんだよな。
チラッと部屋の隅を見ると、威張り腐っていた元大臣がガタガタ震えながら壁に必死に張り付いている。
リィ様の実験に付き合わされ、ディー様ルト様アントン様がセンジュと俺を叩きのめし、ティアの作法を手厳しく指摘した後
暇だから
という理由で
「「「自分の身は自分で守れるように」」」
と剣や魔法でボコボコにされ、カーにお茶やお菓子でしばかれている元大臣はアントン様の怖さを知っている…。
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