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「…今、聞き間違いではなければ、錬金女神リリティーゼ様のお名前、お呼びではありませんでした?」
ティアに聞かれ、微かに頷いた。
生まれて17年間召喚魔法を使えなかったのに、初めて成功しそうな"喚ぶ"対象が先祖で神様って、それも数々の"暴挙"が残る神様って…俺、本当に呪われてない?
だけど
"拒否する"
という選択肢はどこにもない。
…勝手に来られたら、それはそれで地獄を見るのは解っている…。
カーとマリンは淡い光を放つ魔方陣の前で、今か今かと待ってる様だ。
「我が魔力を捧げ、我を助く者を請い願う。界を隔てる力を越え、神界より"リリティーゼ·ミナ·ルテシー·メーメルン"、"アルディード·フォン·マルアール·メーメルン"、"エルレット·ベルク·ハシュテッド·メーメルン"。地上に居出ましください!」
本来は名前じゃなく種族名を入れて召喚だけど、固有名詞がある
"生き物召喚"
では、名前を呼ばないとダメなんだよな。
名前で喚べって厳命されたし。
魔方陣に、蛍のように光が飛んでいる。
…消えた?
『…へえ?ディーとルトの魔力を押し退けようってか?イイ根性してんじゃん?呪詛の方向性が解ったから、攻撃すっぞ?』
リリティーゼ様の念話と共に、赤金の稲妻が魔方陣を走り…空に上ってどこかへ走り去った。
途端に目映く魔方陣が輝き
「やったー!シャバだー!やっぱり空は青くないと!」
「うお?!メーメルン邸のホールだぜ!…なんかボロッチイけど」
「あ?リィちゃん大変。ヴァルファルにバレたみたい」
深い蒼の色が魔方陣に走ってるのを見ていたエルレット様にリリティーゼ様は。
「あ?大丈夫。ここに魔石がいくつかあんじゃん。私神界と地上の境界門を見てて気づいちゃった🎵一方通行って、便利だ!って。召喚陣も一種の"門"だからさ?錬金術で一方通行にしてやればいいんだよ。私とディーとルトが使えればいいよね?」
リリティーゼ様は魔石を二つ手に取ると集中し始め、魔石を黒曜石のような石に変えて魔方陣に置いた。
シュルシュルと糸のような形に変わり、魔方陣を走り…ど真ん中が南京錠になった。
深い蒼色も霧散する。
「ベーだ!あんな退屈なところ戻んないよーだ!!!」
「「そーだそーだ!戻んねーよ!!!」」
…やっぱり神界に戻って欲しいなぁ…。
イヤな予感しかしない…。
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