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「女同士だと、釣り合いとか気にするよな。グループのレベル、みたいな?」 「まさにそれよ」学生が模範解答をしたときの教授のように、重々しくうなずいて肯定する。    脳みそにプログラムでも搭載されているのか、どの年代のグループでも、女同士のグループでは内部での序列や、外部との立ち位置が重要視されやすい。  そういうものに、私はウンザリしている。  ダサい私がムカつくのなら、爪弾きにでも村八分にでもしてくれ。 「お前が好かれてるってことなんじゃね? おしゃれになって、私たちのグループに入ってよ。みたいな」 「あー…………」  そういう考えもできるのか。  そう考えると、マフラーの巻き方への一言も多少かわいげがあるような気がしてくる。  この木下という男子は、大げさな共感や同調をあらわしてはこないが、新しい視点や考え方をくれる。それでいて押しつけてはこないのが、彼の良いところだ。  たまたまサークルの新歓コンパで知り合ったのがきっかけでよく話すようになったのだが、友人になれてよかったと素直に思う。  それから、どんぶりを傾けてラーメンスープを飲み干した木下は「男と女だと逆だけどな」と続けた。  独り言のような声量だったけど、なぜだかしっかり聞こえた。
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