色々なフェチ達が異世界召喚された

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色々なフェチ達が異世界召喚された

俺は頸フェチだ。女性が髪を結んでポニーテールやツインテールにしていたり、お団子や簪で髪を留めている時の頸に心ときめいてしまう。 そんな人にはあまり言えない性癖を持ちながらも慎ましやかに人生を謳歌していた。足元に召喚陣が浮かび上がる迄は。 「ようこそ、異世界の勇者様方。どうか世界をお救いください」 目の前にはやんごとなき生まれの美女が膝をついて俺達を迎え入れていた。そう、周りを見渡せば俺以外にもここへ連れて来られた者達が居たのだ。 「いや、俺はただの頸フェチなだけなんだが・・・」 「ぼ、僕なんて脇フェチですよ・・・」 「私だって匂いフェチなだけよ・・・」 「儂なんぞ着物フェチじゃわい・・・」 老若男女問わず、全員が何がしかのフェチみたいだ。え、何でそれが勇者なの? 「勇者様はその深い拘りを持つ事で、類稀なる才能を発揮すると言われております。どうか、そのお力をお見せ頂けないでしょうか?」 「そんなのどうやって証明するのさ?」 「『ステータスオープン』と唱えて下されば、無二の才能が何であるかが解る筈です」 「「「『ステータスオープン』!」」」 取り敢えず、言われた通りにしてみると、目の前に半透明のパネルが中空に出現した。 職業:勇者 フェチ:頸 才能:識別(未発揮状態) 説明:数十秒間観続ける事で、万物の全てを解き明かす事が可能。但し、1日1回女性の頸を見なければこの才能は発揮出来ない。 「すまないが、女性で誰か俺に頸を見せてくれないか? どうやら俺は1日1回は頸を見ないと才能を発揮出来ない様だ」 「あ、僕も同じです。女性の脇を見せて頂かないと駄目みたいです」 「私は一定時間、匂いが強い何かを嗅ぎ続けないといけない様ね」 「儂のはこの世界じゃと無理なんじゃないかのう。着物なぞ日本でしか見れんぞ」 「なら、湯浴み着とかの一枚生地で肌を包んだ丈の長い服はどうだ?」 「それであればギリでイケるかもしれんのう。試してみん事には解らんが」 「なあ、女性で香水を付けた髪を頭の上で結わえた脇の空いた丈の長い一枚生地を着た者を連れて来てくれ。そうすれば才能が確認出来るかもしれない」 「判りました。今直ぐ準備させます。お座りになってお待ち下さい」 美女は俺達を椅子の方へと誘導して、執事みたいな人物に飲み物を出す様に指示を出した。 数刻して、高級な紅茶を飲み終えた頃に1人の女性が現れた。俺が言った通りの姿で正直唆る。早く頸が観たくてたまらない。 目隠しと口輪で此方を伺う事が出来ず喋れない。手は拘束されており足には鎖で繋がれた鉄球が有りまるで罪人の様。香水が無くとも、何日も風呂に入っていないだろう体臭が漂ってきそうな位だ。 騎士姿の男が女性の手を上に引っ張り脇を見せる。俺は女性の背後に回り頸を確認する。他の者達も近くに寄って其々のフェチを堪能している。 「お、識別可能な状態になったぞ。何か俺に不可解な代物を見せてくれないか?」 「では、このアーティファクトをご覧になって下さい。我が城で宝物庫に眠っていた、用途不明の宝です。古代文字が刻まれており、旧時代の魔道具では無いかと思われます」 美女が俺に手の平サイズの物体を渡して来た。此処は城の何処かでこの美女はお姫様か何かだったのか。王様は何処かに居るのかね? 俺は手渡されたアーティファクトを観続ける。すると、頭の中に情報が浮かび上がった。 「コイツは結界付きの家みたいだ。起動させると、屋敷位の広さが有る空間に入れる扉が出来る。その扉の周りに不可視の結界が張られて、外敵から守ってくれるみたいだ」 「起動方法は解りますか?」 「ああ、『ハウスドア』と唱えて平らな地面に置くだけだ。但し、魔力が抜けていて今は使えない様だ。一度使用する為には大魔結晶石が要るらしい」 「準備させます、宜しければお使い下さい。勇者様達の助けになる事でしょう」 「この女性の人、冤罪で囚われています。本当の犯人は別に居ますよ」 脇を観ていた少年がイキナリ爆弾発言をした。
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