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髪に優しく触れながら、三上さんはそれ以上、何も言わなかった。
涙も落ち着いてきた。もう大丈夫。
「大丈夫です。ちょっと記憶が混乱したというか。飲み過ぎたからですかね」
小さく丸めていた体を少し伸ばす。大丈夫。自分に言い聞かせる。
「どこが大丈夫?」
三上さんの視線が私の背中からそれたのがわかる。
でも、私はまだ体の向きは変えられない。
「こっち向ける?」
「まだ無理です」
三上さんの軽い舌打ちとため息が聞こえる。
「何されたの?DV?殴られたりした?」
「殴られてはないです」
「離婚の原因って、むこうの浮気だったよね。殴られてないなら、何?」
沈黙に耐えられなかったのは私。
「三上さんて、女の人を抱くとき、首絞めたりしますか?」
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