マフラーの季節

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三上さんに会う度に、心のどこかで冷たい風が吹いていたのは、ずっと遠い過去?になっていってるような気がする。 「温泉旅行、結局、行けてないね。露天風呂にいい季節になってきたし、近いうちに行かない?ハネムーンとは別に。」 「温泉いいですね」 「杏の浴衣を越後屋みたいに、帯をクルクルときながら、脱がせてみたいなぁなんてね」 「何ですか?その時代劇設定」 「男のロマン」 「三上さん、エロ三上モードになってますよ」 「あと『三上さん』はいい加減、卒業してね、杏さん」 入籍したから、戸籍上、苗字は一緒だもんね。 会社では旧姓のままだけど。 なんて呼ぶのがいいのかな? 『昂眞(こうしん)さん』って呼んでみようか。 。。。。う~ん、ちょっと無理そうかも。 まずは『(こう)さん』からなら。。。 そんな風に葛藤していれば、髪に軽くキスされてしまう。 「すっごい面白い顔してたよ。呼びやすい名前でいいから。前はベッドの中では(こう)さんって呼んでくれたのにな。」 やっぱり、意地悪三上、健在です。 顔が火照ってくるので、そうゆうことは言わないで。 いろんなことがあり過ぎて、最近は逆に呼べなくなっちゃって。 名前で呼ぶには、まだ時間かかりそうです、三上さん。 今年の冬が過ぎたなら、あのマフラーを三上さんがしてるのを見ても、余裕で微笑むことが出来たなら、『三上さん』は卒業できるかもしれません。 それまで、もう少し待ってもらえますか? <E・N・D>
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