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「優しすぎて物足りなかった?」
三上さんの腕の中で、そんなことを囁かれる。
「えっ、なんで?」
「なんか余裕ありまくりだったから。時間あるし、もう1回戦してみる?」
「今日はこのくらいで十分です」
三上さんの腕の中は気持ちがいい。
安心出来る。
この腕の中でどんな女性たちを眠らせてきたのかな。
ちょっとだけジェラシー。
「なんかあったの?」
「何でですか?」
「飲んで絡むようなこと、今までなかったから」
「何もないですよ」
私、嘘をつきました。
この前、城嶋さんに言われたことなんか気にしていないつもりだったけど。
気になってしまって、頭から離れなくて、忘れたくて、ちょっといつもより飲み過ぎたのは確かかも。
『社内で三上に猛烈にアプローチしている人がいてね。一緒に住んでるのに、何もしないでいると、その娘に取られちゃうよ。いつまでも自分を見ててくれると自惚れてると、自分の知らない所で寝取られても知らないよ』
城島さんのランチのお誘いを受けて出向いたら、そうやって、お説教をされてしまった。
いい大人が一つ屋根の下に暮らしてて、何をやってるんだってことだよね。
三上さんの優しさに付け込みすぎって。
あまりにもその通りで、私は城嶋さんに何も返せなかったんだ。
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