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三上さんの視線が私に戻ったのがわかる。
「そうゆう奴もいるかもしれないけど、嗜好の問題というか。俺はしないけど」
「首絞めると、子宮も締まるらしくて」
思ったより、冷静な声が出せてる。
察してくれたっぽいですね。
「。。。わかったよ。もう言わなくていい。だから、こっち向いて、橋本。。。杏」
私の名前、呼んだ?
「背中向けられてると、全面拒絶されてるような気分になるから。いい加減、こっち向けよ、杏」
三上さんの指が髪にふれ、頬のところで止まる。頬を上に下に優しく触れてくる。その指に触れてみたくなる。手を少し動かしたところで、三上さんに手を掴まれてしまう。
「離して」
「もう離すことはしないから。手放して後悔するのは、もうたくさん」
腕を力強くひかれると、態勢がどうしても三上さんの方に向いてしまう。
「やっとこっち見たね、杏」
ベットのヘッドボードに背を預けるように座っていた三上さんと目が合う。
「手、痛いです」
「ごめん、強く握り過ぎた。。。何か飲む?」
「お酒がいい」
「水持ってくるよ」
三上さんが薄く笑う。
私はどうにか起き上がって、ベットに腰かける。
醜態さらしてしまった。言わなくてよかったのに。
やっぱり帰ればよかった。
三上さんからグラスを渡される。
「うっす~い、ウィスキーのソーダ割」
「十分、酔えそうです」
私も辛うじて微笑む。
私の隣に座って飲む三上さんのグラスは氷さえも入ってない。きっとあれウィスキーのストレートだよね。
三上さんはそれを一気に飲み干した。
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